講座 国際ビジネス法

講座 国際ビジネス法
著者: 早川 吉尚・松井 秀征・高橋 美加 [ほか著]
ISBN: 978-4-901988-17-9
判型: A5判上製
刊行: 2010年3月
定価: 3,300円+税

新しい法学教育プログラム。
グローバル時代のビジネス社会で企業の法務戦略を指導する立場に立つことを目指す法学部生のための斬新なテキスト。国際ビジネスに伴うさまざまな問題を教材に、契約法、商取引法、国際私法、比較法などの各専門分野を横断した学習により、現代ビジネス社会に必要なリーガルマインド、ビジネスセンスを体得できる。

自著を語る

早川 吉尚(他)

 本書は、立教大学法学部で開講されている講義「国際ビジネス法総合1」において、同講義専用の教材として開発・利用されてきたテキストを、それ以外の用途にも利用可能な形の書籍として纏めたものである。同講義は、文部科学省の2006年度の「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」として採択された「国際ビジネスにおける知財活用人材の養成法~学部の知的財産教育における『コンパイル式授業』と『知財教育教材』の開発と実践~」なる新しい教育プログラムの一環として新たに開講された科目であり、現在においても継続的に運営されている。
 同教育プロジェクトにおいては、まずは、現代の法学が様々な専門分野に分化し、法学教育も縦割り型に終始してしまいがちであるという現状を改善するために、契約法、商取引法、会社法、労働法、租税法、知的財産法、国際私法・国際民事手続法、国際経済法、比較法といった専門分野を異にする9名の法学教員によってプロジェクトチームが結成され、ケースメソッド教材の作成、講義計画の策定・運営が共同で行われた。また、ビジネスセンス養成という観点からは、わが国企業の様々な海外拠点での取材が共同で行われ、わが国企業が海外ビジネス展開でトラブルに直面した現実の事例・関連資料が収集されることにより、教材の中の各ケースが「生きた」ものになるように心がけられた。
 そうした活動の末に完成した本書は、全体として、①わが国企業が外国企業・外国人との間で契約違反や不法行為を巡り争うフェーズ(第1講~第4講)、②わが国企業が外国に子会社等の拠点を設立してビジネスを展開するフェーズ(第5講~第8講)、③わが国企業が外国企業との間で紛争解決手続を行うフェーズ(第9講~第12講)の三つに大きく分かれるものになっており、本書における1講分が90分の授業2回に相当するように設計されている。
 また、各講には必ずQuestions が用意され、様々な考察をしながら学習を進めることができるようになっている。特に授業において活用する場合には、これらの質問を講義中に学生にぶつけ、学生からの回答を受けてさらに授業が展開される双方向授業が可能になる。
 さらに、立教大学における同講義においては、各フェーズの終了時に必ず、講義内容を応用・発展させたケースメソッド型の課題が与えられ、レポートの提出が義務付けられており、かかるレポート課題に関しても参考までに本書末尾に付させていただいている。
 以上のように本書は、わが国企業が国際的にビジネス展開をする際に様々な問題に直面するという視角から分野横断的な学習を必然的に行わせる中で、リーガルマインド・ビジネスセンス・国際的素養を養成することを目的としたテキストであり、かかる目的を共有する様々な大学の講義・演習の教材として、さらには、意欲ある学生の自習のための手引書として、広く活用いただけたらこれに優る喜びはない。
 なお、本教育プログラムは、さらに発展的な要素を加える形で、2009年度からは「立教大学教育活動推進助成(立教GP)」に採択されるに至っている。今後は、かかる助成の下、上記講義の内容にさらなる改善が図られることになる。将来的には、そこでの成果を本書に反映することができればと願う次第である。

一覧へ戻る

立教大学出版会

リサーチ・イニシアティブセンター

ページの先頭へ戻る

Copyright © Rikkyo University. All Rights Reserved.