連続講演会レポート

第4回 異文化の音、自然の音 −音楽を<異化>する−

2006年3月18日(土)16:00〜18:00
会場:池袋キャンパス9号館大教室
講師:細野晴男氏
コメンテーター:三上敏視氏

*今回は、学生誌『St.Paul'sCampus』からの寄稿文です。


講演会ポスター

細野氏の蓄音機を挟んで

(左から)司会・野田研一氏、
講師・細野晴臣氏、
コメンテーター・三上敏視氏

3月18日、9号館大教室にて立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科による連続講演会「異文化の音、自然の音—音楽を<異化>する—」が行われた。

この講演会は異文化コミュニケーション研究科の教育プログラム「持続可能な未来へのリサーチワークショップー異文化コミュニケーション学の構築をめざしてー」の一環であり、異文化という言葉を言語や習慣や異なるという従来の意味だけでなく、自然環境もまた人間にとっての異文化であると捉えて、より広い観点からコミュニケーションを研究し持続可能な未来の構築を目指そうといする試みのもと行われた。

講師に立教大学OBで元「はっぴいえんど」「Y.M.O.」のメンバーであり現在は作曲家・音楽プロデューサーとして活躍されている細野晴臣氏、コメンテーターに神楽の研究者で細野氏と音楽活動を共にしている三上敏視氏を招いて行われた。

元Y.M.O.の細野氏が講師を務めるということもあってか、開場時間には9号館前に長蛇の列ができた。9号館大教室が満員になるほどの盛況ぶりに細野氏も「百人くらいの前で話すはずだったのに」とその人数の多さに驚いていたようだ。

今回の講演会は新しい音楽の本性を模索し続けた日本のポップス、ロックの営みを、異文化コミュニケーション論の視点から検討していくことが主題に置かれた。

まず司会の立教大学異文化コミュニケーション研究科の野田研一教授がはっぴいえんどの「さよならアメリカ、さよなら日本」という曲を手がかりに細野氏の音楽を紐解く。

この楽曲は外なる異文化のアメリカに“さよなら”という意味を表しているだけでなく、細野氏の世代にとって足元にある日本も実は遠い存在で日本的なものから疎外された世代であったということを表していると分析。

それに答えて細野氏も「僕は生まれたときから『さよならアメリカ、さよなら日本』だった」と応え、細野氏が自ら会場に持ち込んだレコードプレーヤーによって幼少のときに聴いていた洋楽をかけるなど自らが辿ってきた音楽を会場で共有した。

そしてマルティニークというでカリブ海に浮かぶ島の音楽や、カリプソというトリニダード島で発達した大衆歌謡を流しながら、異なる文化が融合している様子を解き明かしていった。

細野氏がどのように異文化である様々な世界の音楽を取り入れていったのか、という質問では「伝統音楽にはまりきることなく距離をとる。一時は没頭してあるとき醒める。それらを取り入れるときはエディットするという感覚よりもそれを使って遊びたい」という感覚で音楽を取り入れている、と自らにおける文化の融合の過程を語った。

また講演の終盤ではコメンテーターの三上氏と共に突如公開リハーサルが行われるなどファンにとっては嬉しい出来事も起き、第一線で活躍されている方に直接お話を伺うことのできるまたとない機会となった。

報告:入澤まゆみ(社会学部社会学科)
ポスターデザイン:山田邦博

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