*立教大学出版助成の案内

 

 

 

立教大学出版会

 
 
ジェンダー研究の現在
性という多面体
 

新田 啓子[編]

ISBN 978-4-901988-22-3
A5判上製
2013年3月刊行
定価 2,700円+税

 
ジェンダー研究の狙いは、性的マイノリティへの擁護に留まらず、性が、なぜ、どのように、どのような状況で、ある人生の選択に作用したかを徹底して探求することであり、それを学ぶことは、自分が属し、利害を共有している社会への批判的知性を養うことである。独自の視座から、人間の性が社会に記した「結果」の検証を行った9本の論文で構成された本書は、異なった学問領域の相互的な影響のもとに進展している現在のジェンダー研究の多彩な成果を学ぶ、格好のテキストである。

 

 
【書評】『英語年鑑<2014年版>』(2014年1月)でご紹介いただきました。
 
     
 

自著を語る

 
新田 啓子
   

 本書は、大学生を対象に企画されたジェンダー研究の教科書である。この20年あまりの人文学領域におけるジェンダー研究の展開・蓄積を踏まえた論考を配することで、近年カリキュラムとして定着し、学生のニーズも高い同領域の体系的な教授と学修に資することを目的とした。
  ジェンダーという概念は、その学術的重要性が広く認知された研究と教育の主題であるが、時にその語は、「男女平等」という課題に抽象化される傾向にある。そこで本書は、文学部が教育の骨子に据える文学作品・史料・文化の緻密な読みを実践しつつ、それにより、ジェンダー研究が考究すべき問題関心の多面性を提示しようともくろんだ。
  文学・歴史学・倫理学・開発教育学の4分野を専門とする共同執筆者は、いかなる時代、地域、対象を扱うにせよ、現代社会におけるジェンダー関係や文化の実際、ならびに今後の展望に即した切り口を提示することを心掛けた。全9講をなす論文に付随して、序章にはジェンダー研究の意義と、それを取り巻く事情を概説し、各講には、読者の理解を促すためのコラムを、術語説明を中心に16編配置した。さらに附録として、日本における遊郭の史跡を取材したフォトエッセイを設置した。性の売買とともに文化継承の場ともなった遊郭という空間の両義性・特異性を手がかりに、「性的主体性」「抑圧」「創造性」の関係を思考するための資源を提供した次第である。各講の講読を中心に、各々のトピックに関するディスカッション等を織り込むことで、半期の授業を組み立てられる構成になっている。
  本書の設定した3つのテーマ――「語り得ぬものを描きぬく」「政治の作用を検証する」「文化・慣習を問いなおす」――は、表象・制度・文化というアスペクトから、人の性が問題化・政治化された現場について考えるための人文学的枠組みであり、執筆陣が、立教大学文学部等で教え、鍛えてきたテーマである。ジェンダー研究という領域横断的な学問分野は、歴史的背景や社会的文脈を多彩に扱う一方で、人が実質的に生きた軌跡にひとえに依存するものである。よって本書も、人が、いかにしておのれの性を発見し、またいかにしてその縛りを経験し、そしていかにしてそれを生き、またはそれを苦しんだのかということ自体に肉薄し、そこから「性」の表出を概念化しようと試みた。多様性を演出するカリキュラムに、単に義務的に導入されるに過ぎない類のジェンダー研究を修正し、人文学の取り得る方法論から実質的な貢献を果たすことが、本書究極の目的である。


 
執筆者/新田啓子、林みどり、後藤和彦、渡辺憲司、小野沢あかね、舌津智之、黒岩裕市、梅澤弓子、田中治彦

 


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